太陽光「分割案件」、違反防止へ確認体制を強化
総務省は2015年9月にFITを運用する経済産業省に対し、太陽光発電所の「分割案件」の問題、発電事業者が負担する「工事負担金」などの運用について、改善を求める勧告を行っている。このほどそれを受け経済産業省が実施した改善施策の内容や成果が公表された。チェック体制を強化した結果、「分割案件」の恐れがあると判断された案件の割合は、以前の2倍に増えている。
勧告の1つ目が、禁止されている太陽光発電所の「分割案件」への対応
分割案件とは、特段の理由なく発電所を出力50kW(キロワット)未満の低圧に分割して申請を行っているケースのこと。高圧系の発電所の場合、電気主任技術者の選任や、認定後6カ月以内に土地と設備を確保する必要がある。一方、低圧系ではこうした義務や規制はない。そこで本来は高圧系である発電所を意図的に分割し、必要な手続きを逃れたり、意図的に工事を遅らせたりする発電事業者の発生を防ぐため、経済産業省は2014年から分割案件を原則禁止している。
しかし2015年の総務省の調査で、2014年5~11月までの間にFITに認定された出力30kW(キロワット)以上、50kW未満の太陽光発電所、全3万2813件のうち、1451件に分割案件の疑いがあることが明らかになっていた。
経済産業省はこうした状況に対する改善措置として、50kW未満の設備の認定を委託している太陽光発電協会・代行申請センターにおいて、発電所の確認を底する施策を行った。具体的には2015年12月から、発電所の認定時に、過去に認定した設備および申請中の設備の情報を突き合わせられるシステムを導入。認定時に分割案件である可能性をより厳しくチェックできるようにした。
この結果、分割案件の可能性があると判断された案件の割合は、システム導入前は16万7428件の申請に対して8464件(5.1%)だったが、導入後は9万9667件の申請に対して1万1576件(11.6%)と高まった。なお、分割の恐れがあると判断したすべての申請については、申請者に対して分割案件でないことを客観的に証明する書類の提出と、申請を取り下げた上で、関連する発電設備をまとめて1つの発電設備として再申請するように依頼したとしている。認定取得後において軽微変更届出を行った事業者に対しても、同様に対応したとする。
総務省の2つ目の勧告は、電力会社が太陽光発電事業者に請求する工事負担金に関するもの
工事費負担金とは、発電事業者が電力会社へ接続するために負担しなければならない電線、電力量計などの設置に要する費用のこと。
電力会社はその内訳を書面で発電事業者に示さなければならないとされている。しかし2015年の調査では全161件のうち、「内訳の提示不十分」と判断された案件が31件あった。そこで総務省は経済産業省に対し、工事負担金の内訳を明示するよう電力会社に指導を行うよう勧告していた。
これに対し経済産業省は各電力会社に対して、工事費負担金内訳の提示を徹底し、その結果を報告するよう文書で指導した。各電力会社は社内での周知を実施しているとする。経済産業省では2016年度中にこうした対応の成果を検証する計画だ。
3つ目の勧告は、交付金財源の不足による借入金の借入れに伴い発生する利息や、借入手数料などで電気使用者の負担の増加を招かないよう対策を行うべきというもの
経済産業省は2015年度の賦課金単価から算定方法の見直しを実施。その結果、2016年6月末の借入残高は約11億円に減少したとしている。2016年度の賦課金単価は、さらなる精緻に算定するとした。
【2016.9.2 スマートジャパン掲載記事より】
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